2022年11月28日月曜日

その昔彼は造成地の中のポツンと一軒アパートに住んでいた

 都庁前駅のA5出口を出て中央公園を横切る。熊野神社を詣でた後、西新宿六丁目を散歩。

以前からこの辺りはなんとなく好きだった。ちょっと低い土地から見上げる高層ビルにはとても無機的な威圧感がある。この辺りが造成地だった30年前、都会の価値観に背を向けた知人がここに住んでいた。モームの『月と10ペンス』を教えてくれた彼はこの辺りにマッチしていた。

今やここも高層ビルが建ち並ぶ。地方も都会化している今、価値観のあり方も変わってきた。

幻想の摩天楼って言葉が昔あったが、今や摩天楼も全国規模かな。ポツンと一軒家まで行かないと、都会の価値観から逃れられない。その山奥にさえ、カメラが押し掛ける

2022年11月20日日曜日

菩提樹

駅一つの短い引き込み線とはいえ、そこはれっきとした終着駅、府中競馬正門前駅。降り立つと何か行き着いた哀愁が漂う。遺跡や神社のある街並みはどこか古雅でその向こうにそびえる競馬場や駅のターミナルと不思議なコントラストを形成している。

竹林の見える古い喫茶店「菩提樹」。静かに音楽を聴いて時空間をさまよいたい。

のだが、いつしか喧騒の中に引き戻され、それに安心感を感じる我が心。所詮一人で強くなる事のできない淋しがり。

お釈迦様が悟りをひらいた菩提樹の下は、どんな音がしていたのだろう。喧騒の都会は、もしかしたら菩提樹の根元に造られた仮想空間なのかもしれない